そして、バトンは渡された。を読んで夜中に堪らなくなった。

ふと図書館で借りて読み始め、堪らなくなったので感想書きます。

ネタバレ含むので注意。

 

 

あらすじ(HPより引用)

私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。

高校二年生の森宮優子。
生まれた時は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ヶ原優子を経て、現在は森宮を名乗っている。
名付けた人物は近くにいないから、どういう思いでつけられた名前かはわからない。
継父継母がころころ変わるが、血の繋がっていない人ばかり。
「バトン」のようにして様々な両親の元を渡り歩いた優子だが、親との関係に悩むこともグレることもなく、どこでも幸せだった。

 

 

読み終えた感想としては、個性的な家族にたっぷりと愛情を注がれ、家族っていいな、愛っていいな、と思いました。

これから結婚を控えている方、家族について悩んでいる方にはぜひ読んでほしい。優しさと愛に触れられます。

 

この作品では血の繋がる父親とは序盤で離れてしまい、あとは血の繋がらない父母たちと暮らすことになるのですが、その中で「親子だとイライラすることも他人とならうまくやれる。」という言葉がでてくるんですね。

優子ちゃんの継父継母は、最初から父や母であったわけではない、だからこそ「優子ちゃん」というひとりの人に対して、より真摯に向き合えていたのかな。もちろん、本当にいい人たちだったからこそ。

 

ピアノを弾きたいという優子ちゃんのために結婚したり。

試験前日の夜食はケチャップで長文の激励の言葉を書いたオムライスを出してきたり。

はちゃめちゃだけど、愛らしい継父と継母。

そんな優子ちゃんが羨ましくも感じられたし、自分が親になったら、あーしたい、こーしたいという気持ちがむくむくと膨らみました。

 

作中で継父の森宮さんが、

「俺本当にラッキーだったよ、自分じゃない誰かのために毎日を費やすのってこんなにも意味をもたらしてくれるものなんだって知った。いつでも帰っておいで。引っ越さないし死なないし意地悪な義母とも結婚しないから。」

という言葉がでてくるのですが、もう涙が止まりませんでした。目をパンパンにして仕事に向かう。

言葉から溢れ出る愛情。

本当の幸せは、誰かとともに喜びを紡いでいる時じゃない、大きな未来へとバトンを渡す時という締めくくりで、私もいつかバトンを渡したいなと思いました。

自分も今まで十分に与えられてきたことを実感する一冊でした。